ハマるものを見つけよう。成毛眞著「発達障害は最強の武器である」を読んだ。

アスペルガー

僕は発達障害なのではないかと常々思っている。大人になって症状が軽くなっているが子供の頃は酷かった。いつか診断を受けてみたいと思っているが今は特に生活に不自由はしないからとりあえずほっといてあまり気にしないようにしている。それでも本のタイトルに発達障害とあると気になって読んでみたくなる。しかも発達障害を肯定的に捉えているのがタイトルから一瞬でわかるからなおさらだ。

 

 

発達障害にもいろいろあるが僕はアスペルガー症候群(自閉症スペクトラム)だと自己診断している。子供の頃は注意欠如・多動性障害(ADHD)の割合が多かったような気がするが、大人になってからはそっちはマシになってきた。僕はどうも普通の人が言わないようなことを無意識で口走ってその場の空気を凍らせてしまうことがある。例えば義理の母に向かって「育て方が悪いんだよ」となんの躊躇もなく発言したことがある。後日嫁から聞いたところ僕のこの発言に傷ついて義母は眠れない夜を過ごしたそうだ。前の職場のパートさんにも僕は何を言ったか全然覚えていないが僕の発言に傷ついて同じく眠れない夜を過ごした人がいる。と、別のパートさんから聞いたことがある。僕が知らないだけで僕の発言に傷ついた人は他にも大勢いるのだろう。かわいそうに。

 

著者の成毛眞さんは自身のことを注意欠如・多動性障害(ADHD)と自己診断している。多動性、衝動性、不注意がADHDの3本柱だが、子供の頃を思い返してみると発達障害風味のエピソードがたくさん出てくるらしい。ADHDの人は社会に適応出来ずに苦悩している人が多い。しかし、成毛眞さんは日本マイクロソフトの社長を10年近くやっていた人で、最近ではおすすめ本を紹介する書評サイト「HONZ」を開設したりしてしっかりと社会を渡り歩いている。著者がこの本で伝えたいことは

 

ADHDはもし矯正しなくて済むのなら、矯正しないほうが幸せに生きられる

 

という1点だ。僕たちはこのままでいいんだ。発達障害である種の生きづらさを感じて日々苦悩しているものにとってこんなに心強いことはない。

 

第1章は著者の多動性、衝動性、不注意に関するエピソードが紹介されている。この本を手に取るような、自分も発達障害ではないかと疑っている読者には「自分だけではなかったのか。」「あー、あるある。」と、自分自身にも思い当たる似たようなエピソードが必ずあるだろう。読み進めていくと自分自身の過去のエピソードも否応無く思い出される。
第2章は社会に出てから発達障害の特質がどのような場面で役立ったのかのエピソードが紹介され

 

主力事業とは一見関係のない情報を物色する「多動性」、思いついたらやってみずにはいられないという「衝動性」、興味のあることに着手したら止まることのない「過集中」。
成功を収めている企業のトップたちは、ADHDが有する特性を少なからず持ち合わせているように思えてならない。

 

とまとめられている。
第3章は著者と同じくADHDの疑いのある娘のエピソードを紹介している。いろいろな習い事をやらせたがすぐに飽きる。興味のあることではないとわかったらすぐに止め、次のことをやらせてみる。やらせてみないことには本人にもわからないからだ。発達障害の特性に飽きっぽいがハマると過集中するというものがある。

あらゆるものが比較的安いコストで体験できるなら、興味のあるものが見つかるまでどんどん体験していけばいい。飽きたらそこで止めても全く構わない。

著者の娘はハマるものを就活時に見つけたそうだが、僕は大人になってからハマるものがなくなった。子供の頃は何かしら興味のあることにハマってきたけど今は完璧にない。これをやっているだけで幸せ、というものを見つけたい。そう思ってビールを醸造したり、ドローンを飛ばしてみたり、魚をさばいたり、ヒョウモントカゲモドキを飼ったりしてみている。それでもなかなかハマるものが見つからない。あとは仕事を変えたり住んでいる場所を変える必要もあるのかもしれない。とにかく思いつくことを片っ端からやっていかねばハマるものを見つけることは出来ないだろう。

 

僕は一冊の本を読み続けることができなくてあっちこっち読み散らかす癖がある。これも多動の症状かもしれない。僕はなんて集中力がない人間なんだろうと否定的に捉えていた。しかし、解釈次第で長所は短所に、短所は長所にもなる。ちなみにこの著者のことは「本は10冊同時に読め!」という本を読んで知った。

 

 

発達障害の深刻な症状で苦しんでいる人からしたら自己診断で発達障害だと思っているだけの僕の症状は軽いものかもしれない。それを踏まえても発達障害はできることなら矯正しないで、自身のハマるものを見つけ、その最大の武器を磨き上げていくことがこれからの時代、今まで価値のあったものがテクノロジーの進歩で一瞬で無価値なものになる時代には重要なことだろう。

 

あわせて読みたい